造形屋の「今」、そして「これから」
フィギュア原形制作・オブジェ制作などの造形を手がける株式会社秋山工房は、「造形屋」として多くの実績・経験を重ねてきました。そして、得たものを今後どう活かし、「造形屋」の未来どう切り拓いていくのか――これこそ、私たち秋山工房にとっての大きな課題だと考えています。
造形屋にしかできない仕事
「造形」を「形あるものをつくること」と定義するなら、家をつくるのも船をつくるのも「造形」ということになります。ただし、造形屋が行うのは「建築」でも「造船」でもなく、あくまで「造形」であり、定義のうしろには「※本来の機能を除く」という“暗黙の注釈”が入ることは言うまでもありません。翻って言うならば、造形屋とは、「形状や質感の造成のみに特化した、“外見を本物らしくつくるスペシャリスト”」であり、その対応分野は極めて広範囲にわたります。
実際にお話をいただく仕事の中には、建築、左官、大工、内装のプロたちに依頼したものの、「うちの仕事じゃない」と断られ、悩まれた末に私たちを訪ねて来られるケースも少なくありません。たとえば、テーマパークの擬岩などの制作は当初、左官屋さんに依頼が集まったといいます。しかし、左官屋さんには擬岩づくりのノウハウなど、ないことがほとんど。それを形にしたのが造形屋でした。
造形屋は、そんな「通常ではつくる必要のないもの」すらも、本物のようにつくるプロとして少しずつ認知されていくことになり、やがてそれは、造形屋にしかできない「専売特許」とも言える仕事になったのです。
「造形」をさらに先へ
そして、私たち秋山工房では、この「造形」という仕事をさらに一歩先へ進めたいと考えています。つまり、「依頼者の希望や用途に合ったものをつくる」だけで終わらせるのではなく、作り上げた造形物が「人の心を動かす」ところまでを見据えて、ものづくりに臨んでいます。
二次元もののフィギュア制作なら、原作者・監修者の頭の中にあるキャラクター像と可能な限りシンクロさせていく。イベント・テーマパークの造形物なら、お客様が思わず足を止めてしまうようなものを。またときには、これまでに誰もチャレンジしたことがないような、あらたな造形の可能性を追求する。
――これが、私たち秋山工房が思い描く「造形」の仕事です。